ユージン・ツィガーン [指揮]
Eugene Tzigane, Conductor

 2023年よりクオピオ交響楽団の芸術監督および首席指揮者を務め、19世紀のエスプレッシーヴォの伝統に基づく壮大なシーズンを企画している。就任後の最初のシーズンは「ロマン派の反逆」と題し、ワーグナー的な音楽解釈で聴衆を感情と心理の旅へと誘った。即興性やドラマ、物語を持つ演奏が聴衆をより深く音楽に引き込んで心を鷲掴みにし、魂と直接繋がれることを目指している。「ロマン派の闘争」と題された第2シーズンでは19世紀の保守派と前衛派のコントラストをさらに強調し、この音楽の魂をめぐる古からの闘争が今日に与える影響を提示する。
 自身のブログ「ロマンティック・リベリオン」では芸術を取り巻く現状を見直し、超知的主義から感情や情緒への転換を提唱している。彼のタクトは、不完全さの中にある美や真の人間的表現を蘇らせる。芸術家たちの個性や曖昧さを否定されたモダニズム革命が起こる20世紀以前に存在した自由を、19世紀のスタイルによって再び佳品に吹き込んでいく。
 2024/25シーズンには、ハイファ交響楽団とヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団にデビューするほか、これまでに、イル・ド・フランス国立管弦楽団、プラハ・フィルハーモニア管弦楽団、リンツ・ブルックナー管弦楽団、スウェーデン王立歌劇場管弦楽団、フランクフルト放送交響楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団、ヘルシンボリ交響楽団、イェヴレ交響楽団、ノールランド歌劇場交響楽団、オーフス交響楽団、シュチェチン・フィルハーモニー管弦楽団、グダンスク・フィルハーモニー管弦楽団、ビドゴシュチ・フィルハーモニー管弦楽団、スロヴァキア国立コシツェ・フィルハーモニー管弦楽団等のオーケストラを指揮している。
 近年のハイライトは、プラハ・フィルハーモニア管弦楽団およびプラハ交響楽団とのドイツ&オーストリア・ツアーのほか、シュターツカペレ・ワイマール、トーンキュンストラー管弦楽団、ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団、ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団、MDR交響楽団、ボン・ベートーヴェン交響楽団、リンツ・ブルックナー管弦楽団等への客演がある。
 またハイペリオンおよびカプリッチョ・レーベルから、BBCスコティッシュ交響楽団、シュターツカペレ・ワイマール、ラインラント=プファルツ州立フィルハーモニー管弦楽団、ロイトリンゲン・ヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団との録音を残している。
 長年にわたり、レイフ・オヴェ・アンスネス、イノン・バルナタン、アレッシオ・バックス、アンナ=リーサ・ベズロドニー、ファビオ・ビディーニ、ロナルド・ブラウティハム、サーシャ・クック、リュカ・ドゥバルグ、リーズ・ドゥ・ラ・サール、シュテファン・ドール、イザベル・ファウスト、ヴィルデ・フラング、アレクサンダー・ガジェヴ、マルティン・ガルシア・ガルシア、アルバン・ゲルハルト、デイヴィッド・ハンセン、クロエ・ハンスリップ、ホーカン・ハーデンベルガー、ヨハネス・ヘルド、ステファン・ジャッキーヴ、アメリア・ヤコブソン、ケヴィン・ケナー、イェンス=ペーター・マインツ、ミッシャ・マイスキー、五嶋みどり、オリ・ムストネン、リリ・パーシキヴィ、パク・ヘユン、ローランド・ペンティネン、佐藤俊介、ウォルフガング・エマヌエル・シュミット、バイバ・スクリデ、アレクサンドラ・スム、アラベラ・シュタインバッハー、クリストファー・スンドクヴィスト、オリヴァー・トリンドル、ウー・ウェイ等のアーティストと共演を続けている。
 これまでに、2010~2014年北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者、2009~2013年ポメラニア・フィルハーモニー管弦楽団の首席客演指揮者を歴任。2007年フィテルベルク国際指揮者コンクール第1位&聴衆賞に輝き、2007年マタチッチ国際指揮者コンクールおよび2008年ゲオルク・ショルティ国際指揮者コンクールで第2位を受賞した。ジュリアード音楽院でジェームズ・デプリーストに、ストックホルム王立音楽大学でヨルマ・パヌラに、アスペン・アメリカ指揮アカデミーでデイヴィッド・ジンマンに師事。シモーネ・ヤング、ロジャー・ニーレンバーの指導のもと学び、アラン・ギルバート、ダニエル・ハーディング、マイケル・ティルソン・トーマス、ユッカ=ペッカ・サラステらのマスタークラスを受講した。

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